私たちが使っているパソコンには、WindowsあるいはMacOSと名前がついた、「オペレーティングシステム(Operating System)」略してOSというソフトウェアが必ず入っています。
OSについて、特に「OS=パソコン」というわけではないということについては、こちらの記事で解説しています。
OSは現在では、パソコンにとっては必要不可欠なソフトウェアとなっています。なぜでしょうか?
今回はOSの機能について、もっと深くなおかつわかりやすく、さらにOSというソフトウェアの誕生の経緯についても、ざっくりと解説をしていきましょう。
ちなみに綱引きの掛け声の「オーエス」の語源は、はっきりしていないがフランス語の掛け声「Oh hisse(オーイス)」からきているとされているぞ。「hisse」は「持ち上げる」か「引っ張る」という意味だぞ。
OSの役目とは
OSは何かと、ざっくり言うとパソコンを動かすためのソフトウェアです。
もう少し厳密に言うと、パソコンの操作を簡単にするためのソフトウェアです。
具体的に何をしているのかと言うと、キーボードから入力されたデータの読み込みやディスプレイに画面を出力して表示させるなどのパソコンにとって基本的な役割を担うのが、OSなのです。
パソコンで文章を書く際、キーボードを使うことで文章を入力することが出来ます。入力した文章はディスプレイに表示されることで、自分が作った文章を確認することが、簡単にできます。これらは、パソコンにOSが搭載されている恩恵なのです。
インターネットを使ってウェブサイトを見るのも、パソコンにOSがあるおかげで、簡単にできることなのです。
簡単というのは、パソコンを使うユーザーにとっての話だけではありません。むしろ、OSの恩恵をより多く受けているのは、パソコンで使うソフトウェアを制作する人たちです。
文章を制作する、ワープロソフトを例にしてみましょう。ワープロソフトは基本的に、文章を入力するプログラムはOSに備わっているものを、そのまま利用しています。その他、ソフト自体を起動させるためのプログラムも、OSにあるものを利用しています。
OSにあるものを利用することで、製作のためのコストを減らし、代わりに文章のレイアウトを調整する機能や、画像を挿入するなどのワープロソフト独自の機能を拡張するためのリソースを確保することができるのです。
また、OSによりソフトウェアの操作の仕方が統一されるというのも利点です。
これはWindowsに最初からインストールされている「テキストエディタ」という、文章作成ソフトです。画面の左上に「ファイル」「編集」「書式」などのメニューが配置されています。
次に、これはFireAlpacaというフリーのペイントソフトです。テキストエディタとは種類も制作したメーカーも違うソフトですが、画面左上に「ファイル」などのメニューが配置されているのは同じです。
この仕様は、Windowsで使えるほとんどのソフトで同じです。OS自体の機能を利用しているからです。
それがどうしたの? と思われる方もいるかもしれませんが、違うソフトでもメニューの位置が同じ、すなわち操作の仕方が同じというのはとてもありがたいことなのです。
ソフトによって、メニューの位置がバラバラになると、それを一から学ぶというのはとても手間がかかります。メニューの内容はソフトによって違っても、位置が同じというだけで、操作を学ぶ手間が省かれるのはありがたいことなのです。
他のもので例えてみましょう。自動車という乗り物があります。同じ自動車でも違うメーカーから作られたものが、たくさんあります。しかし、どの自動車でもハンドルで方向を定めてアクセルを踏んで加速し、ブレーキを踏んで減速するという運転の仕方は全く同じです。
もしも、自動車の運転の仕方がメーカーによってバラバラで、ある自動車はハンドルで運転、ある自動車はゲームのようなコントローラーで運転、また別の自動車はリモコンで運転するなど、操作の仕方が根本から違うものが出てくると、運転する側は自動車を変えるたびに運転の仕方を一から学ばなければならず、とても大変です。
自動車の運転の仕方は、全ての自動車で統一されているのが当たり前です。パソコンのソフトウェアにも同じことが言えるのです。それを可能にするのがOSの役目なのです。
OSの誕生 世界初のOSはマイクロソフト製ではない
今ではパソコンにとって、とても重要なソフトウェアであるOSですが、コンピューターの誕生と同時に生み出されたわけではありません。
かつて、コンピューターが部屋一つを占有するほどの大きさだったころ、コンピューターで計算を行うだけでも、専門的な知識が必要でした。
OSなどなく、コンピューターを動かすプログラムを製作するためには「機械語」と言われる、コンピューターに理解できる言語を使って、コンピューターを起動させるためのプログラムから製作しなければいけませんでした。
機械語に使う文字は「1」と「0」の二つの数字だけ。「1」と「0」をどんな順番で、どのように並べるかだけで表現しているんだぞ。現在のパソコンにも、内部のデータ処理には機械語が使われているぞ。
その手間を省くために、最初に生み出されたのが「モニター・プログラム」というものです。
これは、プログラムを動かすためのプログラムというべきものです。プログラムを読み込んで実行する部分を、最初からコンピューターの機能として組み込んでおくために開発されました。これで、一からプログラムを製作する手間が少し省かれます。
このモニター・プログラムこそがOSの原型なのです。その後、キーボードによるデータの入力やディスプレイへの出力といった手法が開発されていく中で、それらを可能とするための基礎的なプログラムの開発もされていきます。これがやがてOSとなっていくのです。
1976年に、世界で初めてパソコン用のOSが開発、販売されました。
その名は「CP/M」です。WindowsでもMacOSでもありません。製作したメーカーも、マイクロソフト社でもアップル社でもありません。ではどこかというと、デジタルリサーチというメーカーがCP/Mを開発しました。
当時のマイクロソフト社は「CP/M」で動くプログラムを開発する小さなメーカーでした。アップル社はまだ、誕生するかしないかというところです。
アップル社が法人化する前の「アップルコンピュータ―・カンパニー」が創業したのは1976年の4月だ。一方「CP/M」が販売されたのは1976年だが何月に販売されたか資料が見つからないそうだぞ。
では、マイクロソフトが初めて開発したOSは何かというと「MS-DOS」というものです。
実は他社が開発した「86-DOS」というOSを買い取って、これを改良することで生み出したものでした。パソコンメーカーに「1年以内にわが社のパソコンのためのOSを作って欲しい」という、結構無茶な注文をされたためにこのような手法を取ったのです。
OSの目的を達成させたGUI
GUIといきなり言われても、どういう意味か分からない人は多いと思います。
GUIは略語で「Graphical User Interface」グラフィカルユーザーインターフェイスが正式名称です。何のことかいうと、私たちが使っているパソコンのようにグラフィックと文字によって操作を行うシステムのことを言います。
今こうしてネットを使って、ブログを見ることができるのもGUIだからです。
アプリケーションを起動する際に、アイコンをダブルクリックするだけで起動できるのもGUIだからです。
デスクトップにアイコンが並んでいるだけでも、GUIでなかったらできないことです。
GUIのおかげで、パソコンの操作を簡単にするというOSの本来の役目が達成されたと言えます。
GUIの前にあったのは、CUIです。「Character User Interface」キャラクターユーザーインターフェイスの略称です。キャラクターというとマスコットキャラクターが出てくるの? と思われそうですが、このキャラクターとは「文字」という意味です。文字のみによって操作を行うシステムのことです。
CUIではパソコンの画面を開いても、文字しか表示されません。マウスも使えないので、操作するにはキーボードで文字入力してパソコンに命令を送ります。
この命令はコマンドと呼ばれ、自由に命令できるわけではなく、特定の文字や記号によって行われるもので、パソコンを使いこなすにはこのコマンドをユーザーが覚えなければいけません。そのため、パソコンを使うだけでも専門的な知識が必要になってきます。
これを解消するために生み出されたのがGUIです。グラフィックを導入することで、アイコンをクリックするとアプリが起動するという直感的な操作が可能となり、パソコンの操作を覚える手間を減らすことができます。
最初にGUIを導入したOSを採用したのは、マイクロソフトではありません。アップルです。
スティーブ・ジョブズが開発の中心となり1983年に発表した「Lisa」というパソコンのOSがGUIを採用しました。しかしGUIはCUIと比べると、パソコンにかかる負荷が大きいため、Lisaは当時販売されていた他のパソコンよりも、動作が重くなってしまいました。
このため評判は悪く、商業的には失敗してしまいました。
しかし、これからはGUIが広まると読んだマイクロソフトも、開発に着手します。
1985年にGUIを採用したOS「Windows1.0」を販売しました。ついにWindowsという名前のOSが世に放たれたのです。しかし、このWindows1.0は他のOSと比べると使いにくかったので、あまり流通しませんでした。
パソコンへの負荷の問題や使いやすさの問題で、商業的には上手くいかなかったGUIですが、使いやすさの向上や、パソコン自体の性能を高めていくなどの技術開発重ねていった結果、今ではOSはGUIであるのが当たり前の時代となっています。