「言われなくてもわかるよ」と言われそうなことを言いますが、パソコンを使い終わった後は電源を切るべきです。
パソコンの電源を切るには、たいていの場合シャットダウンを行うでしょう。パソコンの電源を完全に切って、電気が通っていない状態にします。
パソコンにはもう一つ、電源を切るための操作があります。スリープと呼ばれます。こちらは、パソコンの電源を完全には切らず、少ない電力で動き続けます。
シャットダウンとスリープという二つの電源を切る方法には、それぞれに利点があります。今回はその使い分けについて解説していきます。
なお、Windows10が搭載されているパソコンを例にして解説していくことをご理解ください。
シャットダウンとスリープはどう使う?
繰り返しになりますが、シャットダウンはパソコンの電源を完全に切って電気を通さない状態にします。シャットダウンを行う際に、作業を行うためにアプリケーションを動かしていた場合は、それらは強制終了されます。行っていた作業の状態は保存されず消去されます。
シャットダウンをするときは、作業の内容をすべて保存してアプリケーションも全て終了させてから行うべきです。
最近のWordやExcelなどのアプリには、強制終了されてもそのときの作業のデータをバックアップしていて、再開すればデータを復元できる機能が備わっているぞ。しかし、完全に復元できるとは限らないので、こまめに自分で保存しておいた方がいいぞ。
一方、スリープはパソコンの電源を完全には切りません。作業を行っている途中でスリープをしてもアプリケーションは動いたままです。スリープを解除してパソコンをもう一度動かせば、作業していた内容も保存されてディスプレイに表示されます。
大きなちがいは、シャットダウンは電源を完全に切って、スリープは電源自体は点けたままであることです。スリープ中のパソコンは、少しではありますが電力を消費し続けています。
じゃあ電力を消費したくないときはシャットダウンをすればいいんだね。
ところが、そうとは言い切れません。確かに、シャットダウンした後再び電源を点けるまでは、電力の消費はしていません(電源アダプタをコンセントにつないでいる場合は、待機電力と呼ばれるわずかな電力の消費をしています)
しかし、パソコンの電力消費量が最も多いのは、電源を点けた直後から操作できるようになるまでの間です。電力を節約しようと思って、少しの間だけシャットダウンしてまた電源を点けることを繰り返すと、パソコンを常に点けっぱなしにするよりも電力の消費が大きく無駄遣いになってしまいます。
電源を点けた直後が、電力の消費量が一番大きいというのはパソコンに限らず多くの電化製品の特徴だぞ。エアコンも電源を点けてから設定した温度にするまでの間が、最も電力消費量が大きいのだぞ。こまめに電源を切ったり点けたりするよりは点けっぱなしのほうが電力の消費は少ないんだぞ。
パソコンを使い終えてから、再び使い始めるまでの間がそれほど長くない、1時間ほど間が空いていても、シャットダウンするよりはスリープ状態にしておいた方が電力の効率はよいとされています。
シャットダウンしてから電源を点けるよりもスリープを解除する方が起動は早いし、作業も保存されてるから、いっそシャットダウンは使わずに常にスリープにしていてもいいんじゃない?
それも最善とは言えません。スリープ状態の間はわずかとはいえ、パソコンに電気が通っているので、そのぶん負荷をかけています。部品の劣化が進み、パソコンの寿命が縮まってしまう恐れがあるのです。
また、スリープ状態なら作業は保存されるといっても、何らかの理由で電源が遮断されてしまえば作業の内容は消えてしまいます。デスクトップパソコンなら、プラグが抜けたり停電が起きたりして電気が通らない状態になると、その瞬間スリープ状態から電源が完全に切れた状態になり、作業の内容は消えてしまいます。
ノートパソコンの場合は、スリープ状態でも電力は消費されるので、充電をせずに放置していればバッテリーが切れて、スリープ状態を維持できなくなることがあります。
シャットダウンとスリープはどちらがよいのかと聞かれても、いろいろな考え方があり、はっきりと答えることはできません。時と場合によって使い分けるというのが、最も無難な答えでしょう。
筆者の場合は、日中パソコンを使っている途中で1時間ほど使わないときはスリープ状態に、夜寝る前にはシャットダウンするようにしています。
自動スリープの設定変更
ほとんどのパソコンは、しばらくなにも操作しないでいると自動的にスリープ状態になるように初期設定がなされています。もしも「しばらくパソコンから目を離していたら、画面が真っ暗になっていた!」なんてことがあっても、落ち着いてマウスのボタンかキーボード、あるいは電源ボタンを押してみましょう。再び動けばスリープ状態になっていただけなので、何の問題もありません。画面が真っ暗のまま動かない場合はパソコンに異常があるので、メーカーのサポートセンターに連絡しましょう。
少し操作をしなかっただけでスリープになるのは困るよ。自動でスリープにならないようにできないの?
できます。Windows10の設定変更をしましょう。
Windows10の「コンピューターがスリープ状態になる時間を変更」画面を開きます。通常は「コントロールパネル」を起動させる必要がありますが、ここではもっと楽な「神モード」を利用する方法で解説します。
「神モード」のことをご存知でない方は、こちらの記事をお読みください。
神モードをダブルクリックして表示される項目の中から「コンピューターがスリープ状態になる時間を変更」をダブルクリックします。
電源オプションのカテゴリの一番上にあります。
「プラン設定の編集」というウィンドウが現れます。ディスプレイの電源を切るまでの時間とコンピューターをスリープにするまでの時間の調整ができます。ノートパソコンの場合は「バッテリ駆動」電源プラグをコンセントにつながず、バッテリーだけで動かしている状態と「電源に接続」している状態の2つでそれぞれ異なるように設定をすることができます。
この設定では(電源に接続している状態に限って)まず15分間パソコンを操作しなかったときは、ディスプレイの電源だけが切られます。画面が見えなくなるだけで、パソコンは動き続けています。マウスやキーボードのボタンを押せば再び画面が表示されるようになります。
さらに操作せずに計30分間動かさずにいれば、パソコンはスリープ状態になります。マウスかキーボードの操作でパソコンを再開できます。反応がない場合は、電源ボタンを押しましょう。
肝心なスリープするまでの時間を変更する方法ですが「コンピューターをスリープ状態にする」の行にある「30分」と書かれている欄をクリックします。
1分から5時間までの時間と「適用しない」の文字が一覧に現れます。「適用しない」に設定すれば文字通り、いくらパソコンをほったらかしにしていてもスリープ状態になることはありません。
ディスプレイを切るまでの時間も「適用しない」にすれば、画面もずっと表示されっぱなしになります。
好みの時間に設定したら「変更の保存」をクリックして、設定変更が反映されるようにしましょう。
「休止状態」と「ハイブリッドスリープ」
実はシャットダウンとスリープ以外にも、パソコンの電源を切る方法があります。
Windows10では「休止状態」と「ハイブリッドスリープ」と名付けている二つの方法です。
休止状態とは
休止状態はシャットダウンと同じく、パソコンの電源を完全に切ります。しかし、電源を切る前にそのときのパソコンの状態をハードディスクに保存しておき、再び電源を点けたときには保存されていた状態がディスプレイに表示されるようにします。
つまり、Wordで文章を書いている途中で休止状態にした後で再び電源を点ければ、途中まで書いていた文章が表示されるのです。
便利そうですが、休止状態にする際にハードディスクに記録をするため、普通にシャットダウンをするよりも時間がかかり、電力も多く消費するのが難点です。また、再び電源を点けるときもパソコンの起動により時間がかかるようになります。
Windows10の初期状態では「休止状態」を利用することができません。Win10の設定変更を行う必要があります。以下にその方法を解説します。
①Windows10の「電源ボタンの動作の選択」画面を開きます。ここでも「神モード」を利用する方法で解説します。
神モードをダブルクリックして表示される項目の中から「電源ボタンの動作の選択」をダブルクリックします。
「電源オプション」のカテゴリの一番下にあります。
②「電源ボタンの動作の変更」の画面が表示されたら、まずは画面上部にある「現在利用可能ではない設定を変更します」の文字をクリックします。
赤い四角で囲われている部分をクリックです。
③画面下部の「シャットダウン設定」の項目の文字が、薄い灰色から来い黒色に変わります。この状態になれば、設定の変更ができるようになります。
「休止状態」のチェックボックスをクリックして、チェックが入ったら「変更の保存」をクリックして設定変更を確定させます。
④スタートメニューの「電源」をクリックすると「休止状態」がメニューに現れるようになります。
ハイブリッドスリープとは
ハイブリッドスリープとは、休止状態とスリープを組み合わせた機能です。パソコンの状態をハードディスクに保存しつつ、電源を完全に切らずに少ない電力で動かし続けます。
もしも電源が切れてしまっても、作業の内容を保存したままなので、その点では普通のスリープよりも便利です。しかし、ハイブリッドスリープを解除する際に時間が長くかかります。普通のスリープを解除するときよりも明らかに長いです。
それでも、スリープにしている間に電源が切れてしまっても大丈夫なようにしておきたいというときには便利な機能です。
利用するには、Windows10の設定変更が必要です。
電源オプションの「コンピューターがスリープ状態になる時間を変更」の画面にある「詳細な電源設定の変更」をクリックします。
現れたボックスの中にある「スリープ」の項目をクリックします。
「スリープ」をクリックすると現れる一覧の中から「ハイブリッドスリープを許可する」をクリックします。ノートパソコンを使用している場合は「バッテリ駆動」と「電源に接続」の2つの設定が現れます。
この設定をオンに変更すれば、パソコンをスリープ状態にさせたときにハイブリッドスリープになります。
電源を切る4つの方法のメリット・デメリットまとめ
最後にこれまで紹介した、4つの電源を切る方法のメリットとデメリットをまとめます。
方法 | メリット | デメリット |
シャットダウン | ・電力を消費しなくなる ・パソコンに負荷をかけなくなる |
・作業の内容を保存できない ・パソコンの再開に時間と電力がかかる |
スリープ | ・作業の内容を保存できる ・再開にかかる時間が少ない |
・パソコンに負荷をかけ続ける ・不慮の事態で電源が落ちれば作業の内容は消える |
休止状態 | ・シャットダウンと同じメリットを持ち、なおかつ作業の内容を保存できる | ・作業の内容を保存するのに時間と電力がかかる ・再開にシャットダウンよりも時間と電力がかかる |
ハイブリッドスリープ | ・スリープと同じメリットを持ち、なおかつ不慮の事態で電源が切れても作業の内容を保存できる | ・通常のスリープよりも再開するのに時間と電力がかかる ・パソコンに負荷をかけ続ける |